認知症診断テストは早めに!診察の流れから費用まで分かりやすく解説

認知症

認知症を疑ったら、早めに受診し、診断テストを受けましょう。
認知症は、多くの病気と同様に早期発見・早期治療がとても重要です。認知症が疑われる場合、まず病院で診察を受け、認知症か別の病気の可能性がないかを正しく診てもらう必要があります。

この記事では「認知症の相談は、どこに行けばよいのか?」「病院では何科を受診するのか?」「病院に行きたがらない時はどうする?」といった疑問や、受診にかかる費用や準備など病院に行く前に知っておきたいことを分かりやすく説明しています。参考にしてください。

認知症の診断テストは早めに!早いほうがいい理由

認知症を疑うケースはいろいろとありますが、日頃接していて「おかしいなあ、もしかして」と思っていても、なかなか検査に踏み切れないこともあります。

しかし、認知症も、さまざまな病気と同じく、早めの診断が大切です。なぜなら、同じような症状で別の病気の可能性もあり、治療すれば治る場合もあるからです。

例えば、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などのように、外科的な処置によって症状が一気に改善するものもありますし、甲状腺ホルモンの異常によって起こっている場合は、内科的な対応で治療が可能です。

もしも実際に認知症だと診断されても、認知症の治療や進行を抑える薬は、治療時期が早いほど効果が期待できます。治療や介護サービスを早く受ければ、本人や家族の生活の質を大きく改善できます。治療・介護の方針を本人と家族が話し合うこともでき、認知症の原因疾患やタイプを理解して、適切な対応の仕方も学べます

早期に受診し、診断してもらうことが重要なのです。

認知症かも…。どこに相談する?

それでは、認知症の疑いがある場合は、どこに相談すればいいのでしょうか。

かかりつけ医があればまずその病院が良いでしょう。かかりつけ医がなく病院選びに迷ったら、地域包括支援センターに相談してください。

具体的な診察科としては、まずは専門医がいるもの忘れ外来」「認知症外来」、あるいは認知症疾患医療センター※が良いでしょう。
一般病院にかかる場合は、神経内科・精神科・老年科・脳神経外科を受診します。

※認知症疾患医療センターとは、認知症の人とその家族が、住み慣れた地域で安心して生活ができるための支援の一つとして、都道府県や政令指名都市が指定する病院に設置する専門医療機関です。

「認知症の人」への接し方のきほん
矢吹 知之(著)

一見して同じ現象でも、その原因も、そのとき感じている気持ちも一人ひとり異なっています。
そのため、認知症の人への接し方には、万人に通じる答えは存在しないのです。
はじめて認知症介護をする方はもちろんのこと、「本やインターネットに書いてある通りにやってみたけれど上手くいかなかった」という人にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

認知症診断の流れ

診察や検査は、認知症かそうでないかを調べるとともに、認知症ならば、原因となる病気は何かを特定するために行います。
診察・検査の流れは以下のとおりです。

  • 問診
    本人と家族、あるいは別々に面談し、詳しく日ごろの様子などを話してもらいます。気になることはすべて伝えましょう。
  • 心理検査・知能検査
    改訂長谷川式簡易知能評価スケールなどで本人の記憶力・認知機能がどの程度なのか調べます。
  • 血液検査
    甲状腺の機能低下などほかの病気がないか調べます。
  • 画像検査
    脳の萎縮や変形などをCTやMRIなどで調べます。
  • 診断
    検査結果を総合して医師が行います。

診断が下りるまで、多くの検査がありますが、正しい診断は適切な治療へ導くために必要です。しっかりと検査してもらいましょう。

認知症診断テスト(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)について

長谷川式認知症スケールは、最もよく用いられる認知症の心理検査です。

検査はあくまで適切な診断に必要な情報を得るのが目的です。なるべくリラックスして検査が受けられるように、ご家族が同席してもいいかもしれません。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

この検査は、質問数は9つ、検査時間は10分程度です。
30点満点中、合計点が20点以下だと認知症が疑われますが、軽度の認知症の人は平均して19点程度の点数をとることができるのでこの検査だけで認知症と診断されることはありません。

各質問によって、記憶力や記銘力などの能力のテストが行われます。

厚生労働省HPを参考に作成

このほかに、絵を描いたり、紙を折ったりなど、簡単な動作をしながら行うミニメンタルステート検査(MMSE :Mini Mental State Examination)があります。

本人が病院に行きたがらない時は?

家族が認知症を疑っていても、本人は自覚がなかったり、検査に行きたがらないこともよくあります。そうした場合、どのように声かけを行えば良いのか、一例をご紹介します。

本人に病気の自覚がある場合
  • もしかしたら病気が原因で物忘れが起きているのかもしれないから、一緒に病院に行ってみましょう。
  • 一度、脳の検査を受けてみましょう。
本人に病気の自覚がない場合
  • 役所から高齢者全員が受ける検診のお知らせが来ましたよ。
  • 私も検査を受けてみたいので念のため、一緒に受診しませんか?
  • 主治医から検査の必要性を話してもらう。(あらかじめ医師に事情を伝えておきましょう。)


病院に行くよう促す時は、理詰めで説得するのではなく、本当に心配しているということを丁寧に伝えましょう

本人が自ら受診する場合は実際には認知症ではないことが多く、周りの家族が異変に気付き病院に連れて行った場合は、実際に認知症だったというケースが多いです。

私の知り合いは、どうしても病院には行かないと言い張る親を「親戚が入院してるからその病状を聞きに行く」と医者の前まで連れて行ったことがあります。他にも一緒に付いて来てくれと頼まれることも良くありました。なんとか医者の前まで連れていければ、お年寄りへの医者の影響力は強力なので大体何とかなりました。

一人で悩まず他の家族や友人たちとアイデアを出し合うのもいいかもです。

診断テストの費用はどれくらいかかる?

認知症の診断テストには、窓口の自己負担額が3割の場合で数百円〜20,000円ほどの費用がかかります。                              

かなり金額に幅がありますが、神経心理検査が1,000円以下で受けられるのに対し、脳画像検査が種類によっては20,000円ほどかかるためです。

特に医療保険が適用されない検査などは、検査費用が高額になってしまうのが難点です。(7万円~20万円くらいかかります。)

保険適用の有無によって検査費用は大きく異なるので、予約の際に費用の目安を聞いておくと良いでしょう。

病院に行く前の注意点は?

問診の際に診察では次のようなことが質問されます。メモを作成しておき、医師に渡しましょう。

  • 気になる症状はどのようなもので、いつから出はじめたのか
  • 症状が出はじめたころに気になるようなきっかけ、病気や事故などはあったか
  • 発見してからこれまで進行・悪化した様子はあるか
  • これまでにかかったことがある病気、現在、治療中の病気の情報
  • 服薬中のお薬、何をいつから服用しているか
  • 毎日の生活(食事・日中の行動・睡眠など)の様子
  • その他、家族として心配なこと、気がかりなことは全て伝える

別疾患のかかりつけ医に紹介状や医療情報をもらえる場合は、ぜひもらっておきましょう。

診断結果(告知)はどのように伝えられる?  

告知は様々な検査結果を総合して、2〜3回目の診察時に医師が行います。

告知の際には、本人の状態を考慮して一緒に告知を受けるか、家族だけに伝えてもらうか検討して、あらかじめ医師に伝えておきましょう。

これからの病気の経過の見込みや治療方法や方針、薬の説明、生活上のアドバイスなどを担当医師に確認します。

また、告知によって本人がショックを受けた場合の精神的ケアについても聞いておきましょう。

マンガでわかる!認知症の人が見ている世界2

認知症の人が、どんな目線でものを考えているのか?認知症の不可解な行動原理を、漫画で分かりやすく描かれています。

まとめ|一人で悩まない

もしも認知症と診断されたら、誰しもがショックを受けるでしょう。しかし、現在は進行を遅らせる薬も出ており、介護サービスを利用しながら、在宅で生活を続けている人も多くいます。

相談先も多様で、病院の医療相談室、市区町村の介護保険や高齢者福祉の窓口、地域包括支援センター、すでに介護保険サービスを利用している場合は、ケアマネージャーなどにも相談できます。

認知症とともに十分に自分の人生を楽しめる人も増えてきています。早期発見できたからこそ、ご本人とご家族が今後どのように生きていきたいのかを話し合えたケースも多いのです。認知症の症状の進行を遅らせる薬もありますし、本人や家族を支えるサービスも充実してきました。

早期受診で認知症という病気とともに生きる方法を医師に確認し、本人を支えていきましょう。

                                          

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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