
いつかは親も年老いて介護をしなければならないことはわかっている。
でも、いつはじまるかわからない親の介護を考えると不安がぐるぐるしてばかり・・・。
昨今は「介護」の話題をニュースでも目にすることが増えましたが、それと同時に親の介護についての不安もよく耳にするようになりました。
まだ来ぬ未来のことを心配して過ごすことはつらいことです。
実際には、親が介護になったときは地域の介護サービスを利用できたり、専門家の支援を受けられたりするため、決して一人ではありません。
このコラムでは親の介護がはじまる年齢や要介護の基準についてお話しています。
介護についての知識をチェックしながら今できることを一緒に考えてみましょう。
介護が必要になるのは80歳以降が多い

親の介護は実際に何歳ころにはじまることが多いのでしょうか。
今回は厚生労働省が公表している「要介護者」の割合を参考に、介護がはじまる年齢をみていきたいと思います。

令和元年の時点では要介護認定を受けた方は85歳~89歳が一番多くなっています。
その次に90歳以上、80~84歳と続きます。
高齢になると体も衰えてくるため、多くの方は80歳以降に介護がはじまるようですね。
その一方で、40~64歳で介護状態になる方も少なくはありません。
また、80歳以上の方の介護状態になる原因第一位が認知症であるのに対して、若い年代は脳血管疾患となっています。
脳血管疾患は突然起きることも多く予測がつきにくいのが難点です。
認知症は徐々に進行していく病気であるため、たびたび親御さんの様子を見ておくと早期発見がしやすくなるでしょう。
要介護の基準ってなに?

一体どんな状態から介護といえるのか疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者もその一人でした。
祖母が認知症になったときのことです。
・物忘れが多くなってきたな
・会話のキャッチボールができなくなってきたな
そんな違和感があっても「介護」という言葉は頭の中にありませんでした。
決定的な出来事は、トイレがある場所が一時的にわからなくなったこと。
それでも日常生活に大きな支障が出ていたわけではなかったため、要介護認定を受けられるかは半信半疑でした。
いざ勇気を振り絞って地域の地域包括センターへ行くと、すぐに要介護認定の申請手続きができ2週間後には要支援1の通知を受け取ることができました。
介護と聞くと寝たきり状態を思い浮かべますが、要介護認定は「少しでも見守りや人の手が必要な状態」であれば対象となる可能性があるのです。
「膝が痛くて階段がきつい」それも要介護認定の対象!?

厚生労働省の調査による要介護度別の介護の要因をみてみると、要支援認定を受けた方の多くは関節疾患が原因であるようです。
・一人で階段を上るのが大変になってきた
・立ち上がるのに支えが必要
・よくものにつまずいて転ぶ
そのような様子がみられたら要介護認定を受けられる可能性があるということですね。
しかし、親に要介護認定のことを言い出すのは勇気がいることです。
私の母は68歳になったころ、物忘れが多くなり、足元もフラつく回数が多くなりました。
これは一度病院で見てもらった方がよいのかも、と思い母を誘いますが「大丈夫よ!あなたは自分のことを心配していればいいの」の一点張り。
とりあえず様子を見守りながら過ごしていたある日、母が自宅の階段で足をすべらせて落ちてしまったのです。
幸い大事には至らず、病院で診てもらった後に地域包括支援センターへ行き要介護認定の申請をしました。
帰り道、母は小さな声でいいました。
「私ももうおばあちゃんなのね」
気持ちは元気でも体は衰えていく。
昔のようには動けない。
それは想像以上に苦しいことなのかもしれません。
はじめは要介護認定を受けたことにショックを受けている様子でしたが、今は介護予防の施設に楽しく通っています。
また、私も安心してお任せでき、自身の家庭や仕事に時間とエネルギーを使えるようになりました。
親に要介護認定のことを伝えるのはとても勇気がいりますが、介護では一人では支えきれないこともたくさん出てきます。
また、要介護認定を受けると地域のサービスを安く利用できたり、専門家の力も借りやすくなったりします。
親御さんの様子に不安を覚えた時には、ぜひ一度要介護認定の申請について話をしてみていただきたいと思います。
心配しすぎず今できることを

親がいつ介護になるのかを予測するのは難しいですが、人はみな歳を重ねていきます。
将来、親の介護が必要になったときをイメージして今できる準備をしておくことが大切です。
例えば、介護保険制度などの情報収集や予備金の貯金は今からでもできます。
出来る限り自宅で介護をしたいと希望している方は将来のリフォーム費用を貯めるのも今できる準備の一つかもしれません。
一人で介護をすると考えると不安になってしまうと思いますが、実際はケアマネジャーや介護職の方など、さまざまな人たちの支援を受けながらみんなで乗り越えていきます。
心配をしすぎず、今の瞬間を大切に今できる準備をしていきましょう。