
親の介護でのオムツ替えは大変な作業の一つです。
「夜中に起きてみてみたら、オムツから漏れてベッドいっぱいに広がっていた」「何度も何度も起こされる」
そんな毎日で寝不足がつづき、親は悪くないとわかっていても、ついついきつく当たってしまう……。
体力的にもきつい上、親の弱った姿や排泄物をみるだけでも抵抗を感じるのに、やらなきゃいけないから何とか続ける。
そのような心身の負担を一人で抱えながら親の介護をすることは、とてもつらいことです。
このコラムでは、親の介護のオムツ替えの悩みと、夜中のオムツ替えの回数を減らす方法を紹介していますので、親御さんの介護で夜中によく眠れていない方や、オムツ替えに苦痛を感じている方などは、ぜひ参考にしてみてください。
親の介護のオムツ替えは大変

夜中のオムツ替えで寝不足が続いていませんか?
親の介護をはじめた頃は、なんとかやれてしまうことがほとんどです。
しかし、在宅介護では、夜中でも気になって気が休まらない、オムツを何回も替えなければならない、などの状況で、睡眠不足になり、心と体の調子が悪くなりやすくなります。
内閣府での介護に関する調査では、「介護で一番苦労したこと」の一位が、排泄介助でした。

参考:内閣府政府広報室「介護ロボットに関する特別世論調査の概要」
介護をする方の多くが、トイレの付き添いやオムツ交換などの介助に大変さを感じているようですね。
筆者も3年間、在宅で認知症の祖母を介護していましたが、夜中のオムツ替えでフラフラになった経験があります。
少しくらいは漏れても大丈夫だろう、と思っていても、祖母の状態が気になって見にいくと、ベッドの隙間にオムツが隠してあるのです。
漏れてしまったことに恥ずかしさを感じていたのだと想像すると胸が痛くなり、「おばあちゃん、調子はどう?」と背中をさすってズボンをチェックしながら「ちょっとズボンが濡れているみたい。新しいの持ってくるね」と言って、毎晩一生懸命オムツ替えをしていました。
しかし、日中は仕事をしていたため、睡眠不足が続き、急に眠気に襲われて立てなくなってしまうこともしばしば。
そのような状態に危機を覚えて、訪問看護に来てくださっていた看護師さんに相談をすると、オムツのサイズを再度チェックしてくれました。
寝たきりになると、筋力が落ち、体型も変わるため、定期的にサイズを見直すことは大事とのこと。
さらに、朝に訪問をしてもらえるようになり、以前よりも安心して眠ることができるようになりました。
在宅介護は終わりの見えないロングラン。
だからこそ、少しでも体の健康も考えて出来る限りの対策や支援を受けることが大切であることを痛感しました。
夜中のオムツ替えの回数を減らせるのか?
では、実際に、夜中のオムツ替えの回数を減らすことはできるのでしょうか?
個々の状況にもよりますが、オムツを替える回数が増えている要因を探ることで対策はできますので、次の章で詳しいオムツ替えの回数を減らす方法をみていきましょう。
夜中のオムツ替えの回数を減らす方法

体型や尿量に合ったオムツをつける
夜中に尿量が多いとオムツから漏れてしまうため、大きめのオムツを選んでしまいがちですが、介護用のオムツは、体に合っているものを使った方が尿漏れがしにくくなります。
また、何枚も重ねてしまうと、ゴワゴワ感が落ち着かなくて自分で外してしまうこともあるため、体型と尿量に合ったオムツを選ぶとよいでしょう。
防水シートや尿漏れ防止パンツなどを活用する
夜中に尿量が多い方の場合は、オムツから漏れてしまってベッドや布団が汚れてしまうこともあるでしょう。
そこで、活用したいのが、防水シートや尿漏れ防止パンツなどの対策グッズです。
例えば、寝返りが多くオムツから漏れやすい方の場合は、下記のような尿漏れ防止用のオムツカバーを利用してみると、横や上から漏れにくくなります。

どれも介護用品の通販や薬局などで手に入るので、一度活用してみるのもおすすめです。
日中の活動量を増やす
夜中に起きてオムツを外してしまう原因の一つが寝つきが悪いことです。
日中にずっとベッドで寝ている、人と接することがほとんどない、など、日中の活動量や刺激が少ないと、夜中に覚醒しやすくなります。
しかし、日中にずっとそばにいて、外出や会話をするわけにもいかないのが現実です。
そのような場合には、可能な限り、デイサービスや訪問介護を利用して、日中の活動のケアを介護の専門職の方にお願いするとよいでしょう。
服用している薬に利尿作用がある場合は主治医に相談をする
夜間の尿量が増える原因として、薬の副作用も疑われます。
高齢になると、認知症だけなく、他の内臓疾患や外科などの薬を服用しているケースが多く、その薬の中には、排便や排尿を促す作用があるものもあります。
副作用はお薬手帳や処方箋に書いてあることがほとんどではありますが、夜間の尿量が多くて困っている方は、一度ケアマネジャーや主治医に相談をしてみることをおすすめします。
夜間対応型訪問介護を利用する
介護保険制度で利用できるサービスの一つに夜間対応型訪問介護があります。
夜間対応型訪問介護は、18:00~翌8:00に利用者宅に訪問をして、オムツ交換や入浴介助、体位変換などのケアをしてくれるサービスです。
定期的に訪問をしてくれる定期巡回、必要なときに対応をしてくれる随時対応、緊急時に対応してくれるオペレーションサービスがあり、利用したい場合はまずはケアマネジャーに相談をします。
一般的な訪問介護よりは費用が高い傾向にありますが、基本的には介護保険で1割負担で利用ができるので、夜のオムツ替えを介護士の方に頼んでみるのもよいでしょう。
朝に訪問介護に来てもらう
介護保険制度で利用できるサービスの一つに訪問介護があります。
訪問介護では、排泄や入浴、食事介助などの身体介護や、食事作りや掃除、買い物などの生活介護などを受けられます。
夜中に尿量が多い方などは、朝一番に訪問介護に来てもらうことで、オムツやベッド周りなどをきれいにしてもらうことができ、臭いも残りにくくなります。
また、介護される親御さんの中には、家族にオムツ替えなどをしてもらうことが恥ずかしく感じ、嫌がる方もいらっしゃいます。
短時間でも、上手に訪問介護を利用することで、お互いの気持ちを尊重し合いながら、より無理のない介護をしていけるでしょう。
さいごに
介護における夜間のオムツ替えは、体にも精神的にも負担がかかります。
また、認知症であっても介護される親御さんにも恥ずかしさや、申し訳なさなどの気持ちがあり、オムツを外してしまったり、トイレに行こうと転倒してしまったりすることもあるでしょう。
さらに、夜中にオムツ替えをすることで、親御さんも覚醒していまい、昼夜逆転して、さらに夜中の排泄介助が増えてしまうことにもつながりかねません。
最近、夜中のオムツ替えが増えてきたな、と感じる方は、なぜオムツを替える回数が増えているのかを観察して、ぜひ対策法を試してみてくださいね。
そして、些細な事でもつらく感じることや、わからないことなどは、どんどんケアマネジャーさんに相談してみましょう。