
高齢者の熱中症は、室内で起こるケースも多いのをご存じでしょうか?
熱中症で緊急搬送される人のうち、約6割が自宅などの住居場所で発生、そのうち60歳〜70歳代が50%を占めています。(東京消防庁調べ)
このコラムでは、高齢者が室内で熱中症になってしまった時の対処方法や原因、熱中症にならないよう毎日の対策を解説します。
「家の中だから大丈夫」はとても危険です。
いざその時に焦らず対処できるよう日ごろから熱中症対策をしておきましょう。
高齢者の熱中症 対処法

「言動がおかしい」「身体に力が入らない」など熱中症の初期症状が見られたら素早く応急処置が必要です。
ポイントは身体を冷やす場所にあります。
太い血管のある首・わきの下・足の付け根の3か所を冷やしましょう。
【応急処置】太い血管を冷やす
【冷却に使えるもの】
- 保冷剤
- 氷枕
- 即席保冷剤(ビニール袋に氷水)
- 冷たいペットボトル
- 濡れたタオル
高齢者は、体温調節がしづらい為、暑さに敏感ではありません。
熱中症の初期症状かな?と思ったら、すぐに応急処置をしましょう。
意識があるなら、水分補給と、身体の中の特に太い血管を素早く冷やすことが必要です。
保冷剤や氷枕、なければ、ビニール袋に氷水をいれた即席保冷剤も有効です。
タオルを濡らしたものでもOK。
この太い血管の通る3か所は、すぐに身体を冷やしてくれますが、冷やしすぎにも注意が必要です。
食事の量が少ない高齢者は、摂取カロリーも少ないので、体温が上がりずらくなっています。
そのため冬場には低体温症を起こしやすいと言われている程です。
長時間、太い血管を冷やしすぎないようにしましょう。
早めに医療機関へ

熱中症は甘く見てはいけません。
身体の中に熱がこもると、脳や肝臓など、いくつもの内臓にダメージをあたえてしまいます。
それが、高齢者は特に危険と言われている理由です。
意識が朦朧としたり、頭痛、吐き気などを引き起こしていたなら「冷やせば大丈夫」と思わずに、すぐに医療機関を受診しましょう。
どう防ぐ?高齢者の熱中症予防
応急処置をする太い血管は、身体を冷やしすぎることも。
熱中症になっていなくても、体温を下げやすくするカ所に保冷剤を当てるなど、生活の中でできる予防対策を日頃から心がけましょう。
① 室内温度は28℃、湿度は50%~60%

よく「熱中症対策にはエアコンは28度に」と言いますが、室内を28℃に保つことと、エアコンの温度設定を28℃にすることは違います。
リモコンを28℃にしたからといって、安心しては危険です。
室内温度が28℃になるように気を付けておきましょう。
② 皮膚の薄いカ所を冷やす
応急処置の冷やす3カ所は、あくまで応急処置です。
熱がこもる前に、普段から身体を冷やしすぎない適所の温度を下げることで、体温を下げやすくしましょう。
皮膚が薄く、脈が振れやすいところが効果的です。
- 手のひら
- こめかみと耳の間(脈があるところ)
- 手首、ひじやひざの裏側
- 足の裏
これらの場所は、濡れたタオルや、保冷剤をタオルなどで巻くなど、高齢者でも冷えすぎない方法で冷却しましょう。
③ 大きな室内温度計を設置する

暑さを感じにくいなら、目に見える温度計は有効です。
室内に巨大な室内温度計を付けましょう。
「〇℃にいったらエアコンをつけましょう」と、本人に認識してもらうことが必要です。
ケアマネージャーさんなどにも連携ををって、日頃からエアコンを意識する行動にしましょう。
④ 直射日光を遮る

高齢者の方は、遮光カーテンで日光を完全に遮断するのを好まない方もいます。
そんな時には『すだれ』がおすすめです。
窓の外側に立てかけておくだけでも随分と違います。
もっと日光をさけたいのなら『日よけシート』もいいでしょう。
直射日光が建物に当たらないように工夫してみましょう。
⑤ 水分と塩分の補給

脱水症状にならないように「水分補給しとけばいいかな」と思いがちですが、じつは塩分も非常に大切です。
塩分が不足すると、熱もこもりやすくなります。
水分補給と塩分補給はセットに考えて、塩飴や、梅干しなどの食品、もしくは塩分補給のタブレット(ラムネのようなもの)で補いましょう。
なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか?

通常、人間は暑いと感じると自律神経が働き、熱を外に出そうと汗をかきますが、高齢になるとその機能が下がってしまい、熱が身体の深部にこもりやすくなってしまいます。
汗をかきづらいので、熱がこもりやすいのです。
さらに、実際は水分が不足しているにもかかわらず、のどの渇きも感じにくいために、知らず知らずに脱水を起こしてしまいます。
暑さを感じづらいことも熱中症になりやすい大きな要因でしょう。
熱中症は夜の就寝時になることも

高齢者の熱中症は日中の室内だけでなく、夜の就寝時にも注意が必要です。
エアコン嫌いの方は「エアコン病になる」「寝るときなんてもってのほかだ」と考えがちです。
実は、寝ている間も熱が身体に溜まるので、暑さを感じずらい高齢者は就寝時にも注意しましょう。
就寝時の対策も室内温度と水分(塩分)補給

扇風機だけでは、なかなか室温も下がりません。
エアコンの温度設定を上手に使って、扇風機と一緒に使うのも効果的。
扇風機との合わせ技で、エアコンの冷え過ぎも防ぎましょう。
また、寝る前に水分補給する人も多いかもしれませんが、塩分も一緒に取りましょう。
夜に一度起きる人なら、枕元にペットボトルを置いておくのもいいでしょう。
こまめな水分と塩分補給を忘れずに。
まとめ

いかがでしたか?
高齢者の熱中症は、室内でも注意が必要です。
暑さを感じづらい、汗をかきにくい、脱水をおこしやすなど、いくつもの要因が重なって熱中症は起こります。
普段から気を付けるには、水分補給しやすいシリコンを使ったコップなどの介護用品も役に立ちます。
高齢者でも飲みやすい工夫がしてあれば、抵抗なく日常使いをしてくれそうですよね。
介護用品に迷ったら、専門の用品を探してみるのもよいでしょう。
高齢者の方々が毎日過ごしやすくなるようなアイテムで、夏の熱中症も乗り切りましょう!
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