高齢化社会の今、「親の病院付き添いのたびに仕事を休むなんて無理!」「親の病院の付き添いは正直疲れる。毎回行かないとだめ?」このように考える方は多くいます。では、まずは病院に大人が付き添った方が良い理由を確認しましょう。そのあと、親の病院付き添いで起こりがちな問題点や、解決策を紹介します。
親の病院に付き添いが必要な理由
親が病院に行く際、家族の中の誰かが付き添った方が良い理由としては次の3つがあげられます。
医師とのやり取りをフォローするため
病院に付き添うことで、医師とのやり取りを把握することができます。今後の通院や治療の方針、服薬の量や時間を家族が的確に認識できるでしょう。また、問診や診察を行う際も、家族が付き添っていれば親の代わりに答えることができます。既往歴や手術歴を漏れなく伝えて、医師の判断を仰ぎやすくなるでしょう。
家族間で情報共有するため
病院で医師や看護師から聞いたことを、高齢者が的確に家族に伝えるのは極めて難しいことです。家族間で正確な情報を共有するためにも、家族の誰かが付き添うのが良いでしょう。
家族の協力が必要な治療のため
時には家族の協力が必要な治療もあります。食事療法や禁酒などは家族の協力なくして、一人では困難です。また、高齢者が一人で通院し、医師や看護師から言われた治療を「やりたくない」という気持ちで家族に隠してしまうと、治療がうまく進まない可能性もあります。病院では家族付き添いの基準を設定しているところは少ないものの、明らかに禁酒や禁煙などをした方が良い場合には、高齢者の通院に大人が付き添うのがおすすめです。
病院の付き添いでの問題点
病院の付き添いは決して楽ではありません。時間も手間もかかるため、回数が増えると家族の負担になります。そこで、家族の病院付き添いで起こりがちな問題を4つお伝えします。
予定調整が難しい
仕事や学校の予定など、付き添う家族自身の予定調整が難しいことも考えられます。月に1回の付き添いならまだしも、月に3、4回となってくると頻繁に会社を休まなければなりません。そもそも、会社に「家族の病院の付き添いで休みたい」と伝えると、良い顔をされないといったケースもあります。
周りに頼れる人がいない
親の近くに住むのが自分だけの場合は、周りに頼れる人がおらず毎回自分が病院に付き添わなければいけない場合も。付き添い時の介助や通院で不安な気持ちを抱える親との小競り合いなど、通院数を重ねていくごとに心身ともに疲れてしまうパターンもあります。
また、責任感が強く、他にも近くに住む親族がいるのに「自分の家族だから」と、つい一人で通院付き添いを請け負ってしまう人も。付き添いだけではなく、日常生活の介護や役所の手続きなども抱え込んでしまい、介護疲れに陥ることがありますので注意が必要です。
時間がかかる
通院は「待ち時間が長くて退屈した」という経験がある人も多いでしょう。特に総合病院のような大きな病院では患者数も多く、1時間以上待つ、ということも起こりがちです。
病院が家から遠い場合はさらに時間がかかります。また、複数の診療科で受診するとなると、待ち時間も2倍以上に。とにかく時間がかかりますので、半日~1日がかりとなってしまう点も問題点となりやすいです。
遠方なので頻繁に帰省できない
遠方に住んでいて頻繁に帰省するのが難しいケースもあります。交通費や滞在費もかかる上に、泊まりがけで行かなければならない距離ならまとまった休みも必要です。
このように、予定の調整や家族の住んでいる場所、要する時間など、病院の付き添い時に発生する問題はさまざまです。
親の病院付き添いで利用できるサービス
ここまででわかる通り、病院に行く高齢の親の付き添いは容易ではありません。とくに社会人である大人は、仕事の欠勤や調整などで苦労するでしょう。そこで知っておきたいのが、ここで紹介する3つの制度やサービスです。1つずつ特徴を説明していきます。
介護ヘルパー
要介護者は介護ヘルパーに通院介助を依頼することができます。通院介助は、訪問介護の「身体介護」区分のうちの一つです。ケアマネージャーの判断で介護保険が適用されるため、金額負担を抑えて利用できます。
通院介助(介護保険適用内)では以下の行為を代行してもらえます。
○通院準備(着替えや持ち物チェックなど)
○自宅から病院までの付き添い(車を利用する場合乗降介助も含む)
○病院の受け付け手続き
など
院内での介助や、診察の待ち時間の付き添い、また通院前後の寄り道は介護保険適用外となりますので注意が必要です。原則「自宅での介助」である訪問介護の一環なので、制約が多い点が煩わしいポイントでしょう。
家事代行サービス
家事代行サービス業者で病院付き添いサービスを行っているところもあります。サービス業なので保険の適用はなく、金銭面での負担は大きくなります。しかし、病院の付き添いを全面的にサポートしてくれたり、通院前後の食事や家事も代行してくれたりと、サービスを追加しやすく融通が利くのが特徴です。
訪問診療
自宅に医師が訪問して診療するのが訪問診療。定期的な診療が必要な場合に行いますが、万が一緊急を要する場合には往診対応をしてくれるケースもあります。まずはケアマネージャーや、訪問診療を行っている病院のソーシャルワーカーと相談してから利用しましょう。
まとめ
医師からの伝達や治療方針などは、なるべくしっかり聞き取り適切な治療を受けたいですよね。そのためには、親の通院の際には付き添いをした方が安心でしょう。できれば、患者本人をよく知る大人が付き添うのが良いですが、付き添い人の心身に負担がかかりすぎないように介助サービスや訪問診療の利用も考えてみてくださいね。
投稿者プロフィール
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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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