うつ病の初期症状に注意しよう!受診目安や治療内容は?

精神疾患

長期にわたって気分が落ち込み、無気力状態となるうつ病。日常生活だけでなく社会生活にも影響を与える可能性があることから、早期発見が重要です。ここでは、家族が気付きやすい初期症状や受診のタイミングについてまとめました。「最近家族の様子に変化がある」「いつもと違う」と感じる方は、ぜひお読みください。

家族が気付きやすいうつの初期症状は?

家族や周囲の方から見てわかるうつ病の初期症状を見ていきましょう。

食欲がない

うつ病の初期には、食事量が減ったり、まったく手をつけなかったりといった症状が見られます。食欲は、人間が生きるために必要な欲求のひとつ。しかし、うつ病になると、基本的な欲求さえも喪失してしまいます。

食欲がなくなる原因は、意欲の喪失だけではありません。本来胃腸は、副交感神経(リラックス状態のときに活発に働く神経)により支配されている臓器です。しかし、うつ病になると副交感神経の働きが弱まってしまうため、胸やけなどの症状も出現しやすくなります。

落ち着かず攻撃的になる

気分の落ち込みはうつ病の症状としてよく知られていますが、反対に攻撃的になることもあります。ささいなことでも不機嫌になり、イライラしやすくなってしまうのです。イライラする気持ちから、周りに対して攻撃的になる方もいます。周囲からみて「最近怒りっぽい」と感じる場合は注意が必要です。

お酒の量が増える

アルコールとうつ病の間には深い関係があります。うつ病によるつらさを解消したくてアルコールに頼り、飲酒量が次第に増えてしまうケースも少なくありません。たしかにアルコールは、気分を一時的に高揚させてくれるでしょう。しかし、長期間飲酒し続けてしまうと、反対に抑うつ傾向を高めることになります。そして、アルコールに対する耐性ができてくると、飲酒量はさらに増加。うつ病では、この悪循環に陥ってしまう方が多く見られます。

不眠もしくは過眠

睡眠障害は、うつ病の約80% に見られる症状です。不眠のタイプとしては、寝つきが悪い「入眠困難」、途中で目が覚める「中途覚醒」、朝早く目覚める「早朝覚醒」、眠った感じがしない「熟眠障害」があります。どのタイプも熟睡できないため疲労がたまります。

うつ病による睡眠障害は、不眠だけではありません。過眠状態となり布団から出られない、仕事に行けないなど、日常生活に支障をきたすケースも多くあります。

表情が暗い

うつ病には、特徴的な表情があります。ぼんやりしている、無表情になりやすい、無理して作り笑いをしているなどの場合はうつ病を疑い、ほかの初期症状がないかをチェックすることが重要です。

うつ病の原因は?

「うつ病=ストレスによるもの」と考える方もいるでしょう。たしかにうつ病は、ストレスが引き金となって発症することが多いですが、原因はそれだけではありません。

精神疾患の発生について考えるときは、「ストレス脆弱(ぜいじゃく)性モデル」という理論を理解しておく必要があります。これは「ストレス」と「脆弱性(もろさ)」のバランスにより、精神疾患を発症するという理論。
同じくうつ病も、もともとの性格や疾患などの「脆弱性」に「ストレス」となる環境要因が重なることで、発症すると考えられています。同じストレスがかかったときに、うつ病になる方とならない方がいるのは、脆弱性の違いであるということです。

それでは、何がうつ病の原因なのかを見ていきましょう。

環境要因

環境要因として挙げられるのは、大切な人との死別や離別、人間関係のトラブル、家庭や職場における役割の変化などです。また、仕事や財産を失ったり健康を損ねたりすることなども、環境要因のひとつであるといえるでしょう。これらのイベントによるストレスが、うつ病の引き金になると考えられています。

性格によるもの

うつ病は、脳のエネルギーが不足した状態であるとも考えられています。エネルギーを多く放出しやすいのは、仕事熱心で義務感が強い方、完璧主義の方、几帳面・凝り性の方などです。このような方は、常に周りへの配慮を重視して関係を保とうするため、エネルギーが枯渇しやすいといわれています。

そのほかの要因

遺伝的要因、がんや糖尿病などの慢性的な疾患が原因となることもあります。糖尿病とうつ病については、神経・内分泌系などとの相互関係に関する研究が進められていますが、長引く治療自体がストレスとなっている可能性も十分に考えられます。

女性は、ホルモンの変動がうつ病の原因となることも。妊娠・出産のときや更年期には女性ホルモンの値が大きく変化し、情緒が不安定になりやすくなります。このことから、女性のうつ病リスクは、男性の約2倍 であるといわれています。

病院を受診するタイミングは?

落ち込んでいる期間が長い、突然泣くなど日常生活に支障をきたしている様子が見られる場合は、病院を受診するように促しましょう。また、仕事の効率が下がってミスが増えるなど社会生活上の支障も、同じく受診の目安となります。

落ち込みや涙が出てしまうといった症状は、本人にとってはつらいものです。また周りも、本人との関係が行き詰まったり、疲弊してしまったりする可能性があります。回復への近道のためにも、家族だけで抱え込まないためにも、早い段階から病院に相談することが重要です。

うつ病の初期症状には休養と薬が大切

うつ病の初期で症状が軽度のうちは、休養と薬物療法が重要です。前述のように、うつ病は脳のエネルギーが欠乏した状態。
そのため、使いすぎた脳をしっかりと休ませることが、治療の基本となります。具体的には、仕事内容を軽減する、残業をしない、職場から離れて自宅で過ごすなどの方法があります。

薬物療法で主に用いられているのが、抗うつ薬です。抗うつ薬には、神経伝達物質の機能をサポートする働きがあります。神経伝達物質とは、脳内の情報を処理する過程で重要な役割を担う物質のこと。うつ病では、この物質の働きが弱まっているといわれていることから、薬を用いて調整を行います。

また、日光を浴びて生活リズムを整えることも重要です。太陽の光は、気持ちを穏やかにしてくれるセロトニンや安眠効果のあるメラトニンの分泌と関係があるため、ときには散歩に出かけるのもおすすめです。これらはどれも、周囲の協力が必要になってきます。本人の悩みを否定することなく聞きながら、ゆっくりできるように配慮しましょう。

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まとめ

うつ病の初期症状があるときは、早期受診が重要です。しかし、本人が精神科受診に抵抗を示すこともあるかもしれません。その場合は、身体的な症状で内科を受診し医師から精神科受診を勧めてもらう、不眠症状をきっかけに精神科を受診するなどの方法があります。本人の気持ちに配慮しつつ、うまく受診につなげましょう。

投稿者プロフィール

りんご
りんご
5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。

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