家族がうつ病や統合失調症、依存症になったら|心がけたいこと、役に立つ制度について

精神疾患

家族にうつ病や統合失調症、依存症などで障害がでたら、「これからの生活はどうしよう」「どんなふうに接していけばいいのか」などいろいろな不安がいっぱいになります。

体の病気の場合、病名は臓器の種類や部位、原因によって分類されることが多いのですが、こころの病気の場合は、主に脳というひとつの臓器を対象にしており、まだ原因がわかっていない疾患が多いという特徴があります。

皆さんは日本に何人、精神障害のある人がいらっしゃるかご存知でしょうか?

実は「419万人(※厚労省調べ)」もいるのです。

今回は、精神疾患について知り、家族がうつ病や統合失調症、依存症などで障害が出た場合にどんなふうに対応したらよいか、また、どのような支援があるのか紹介していきます。

ぜひ参考にしてください。

精神障害とは何だろう?

精神障害は、ひと言で言うと、「脳の病気」です。

遺伝、その人の気質・性格、と、ストレスや生活環境などとが組み合わさり、脳内の神経の情報を伝達する物質(神経伝達物質)のバランスが崩れることによって引き起こされると考えられています。

ただし、症状があるからといって、「精神障害」とまでは言えない場合もあります。

また、「精神障害」と診断されても、治療すれば日常生活に支障が出ない程度にまで回復するものもあること、福祉サービス面での支援も用意されていることなどを、十分に理解しておくことが必要です。

こんな症状が見られたら…

下記のような症状に気づいたら医師や専門家へのアプローチが必要だと考えましょう。

身体面の症状

  • 疲労・全身倦怠感 (体がだるい、重い、疲れがとれない、など)
  • 動悸・めまい(心臓がどきどきする、息苦しい、めまいがする、など)
  • 頭痛(頭が痛い、ずっしり重く感じる、ズキズキ痛む、など)
  • 不眠(寝つけない、何度も目が覚める、など)
  • 食欲不振(おいしく食べられない、何も食べたくない、など)

心理面の症状

  • 憂鬱(気持ちがしずむ、楽しいことがない、など)
  • 不安や緊張(気持ちが落ち着かない、どきどきして心細い、など)
  • 怒り(イライラする、怒りっぽくなる、など)
  • 幻聴(誰もいないのに声が聞こえる、など)

生活・行動面の変化

  • 生活の乱れ(服装の乱れ、昼夜逆転、不規則な生活、など)
  • 行動の変化(ミスが増える、ぼんやりしている、時間通りにできない、など)
  • 自傷行為(自分を傷つける、抜毛、など)
  • ひきこもり(外出したくない、人に会いたくない、など)

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精神障害の種類

主な精神障害とその特徴は次の通りです。

うつ病・双極性障害

うつ病は、「眠れない」「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状が非常に重い状態の障害です。患者数は推計104.1万です。

双極性障害は、うつ病とほとんど同じうつ状態に加え、うつ状態とは対極の躁状態も現れ、これらを繰り返すという慢性の病気です。

統合失調症

発症の原因はよくわかっていませんが、100人に1人弱かかるといわれる、比較的一般的な病気です。

「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状ですが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られています。

アルコールや薬物依存症

アルコールや薬剤などの乱用を、自分の意志だけではやめられず、身体面や社会生活上の問題を生じて、周囲も大きな影響を受けます。

認知症

脳萎縮などの明らかな脳の障害のため、記憶力や判断力が低下する状態です。被害妄想や幻視、夜間の興奮などの症状を伴う場合もあります。

心がけたい4つのこと

家族に精神障害の人がいる場合の対応方法を4つ挙げています。

プロの医療機関に相談しよう
精神疾患は身体の疾患以上に判断が難しいものになります。また、症状として判断能力の低下を起こすものもあるため、不安に感じたらまず専門医へ相談しましょう。
治療については疾患により異なりますが、薬物療法、カウンセリングなどを行っていく治療法が一般的です。

うまくコミュニケーションを取ろう
病気はその人の一部です。健康な部分に目を向けて見守ることが大切です。
精神障害者の方は対人関係が苦手だったり、状況に合わせて振舞うとか、相手の気持ちを汲むといったことが不得手だったりします。

本人の「つらい気持ち」を受け止め、本人の話をよく聴きましょう
自分が対応できる範囲や必要な事は、はっきりと具体的に説明しましょう。そして、ゆっくりあせらず、悲観せず、その病気を理解しましょう。

サポートしてくれる仲間を探そう
お住まいの地域の保健所や保健センター、精神保健福祉センター、市町村の窓口などの公的機関でも、こころの健康や医療について幅広く相談を受けつけています。どこに相談してよいのかわからないときは利用しましょう。

また、地域で家族会や当事者団体、自助グループなどが活動しています。
精神保健福祉センター・保健所・市区町村などで、連絡先、入会方法、活動内容などの具体的な情報を提供してくれます。

介護・看護に頑張る自分自身をケアしよう
自分や家族だけで問題を抱え込まず、主治医や専門職に相談しましょう。
自分自身が楽しみやゆとりを持てるようにしましょう。本人に自分にはそのような時間が必要だと説明して、好きな本を読んだり、ゆっくり休む時間を持ちましょう。
そして、自分の悩みや不安も誰かに聞いてもらいましょう。自分を責めたり、誰かが犠牲になる必要はありません。

役立つ制度を知ろう

精神疾患の治療には費用の負担も大きくなります。病気が原因で働けなくなったりすると、さらに金銭的に厳しい状況に陥ることがあります。

しかし、申請することで生活の立て直しに役立つ制度もいろいろあります。簡単に紹介しておきましょう。

高額療養費

病院や薬局の窓口で支払った額が、一定の金額を超えると超えた額が払戻される制度です。
医療機関の領収書などを添付して医療保険者に申請します。
医療費が高額になりそうなときは事前に申請して限度額適用認定証を発行してもらうと、窓口への提示で自己負担限度額での支払いが可能となります。

詳細は加入されている医療保険にお問い合わせください。

自立支援医療制度

精神科の治療は定期的で継続的な通院医療が必要な場合があります。
自立支援医療制度を利用すると、外来の医療費、投薬、デイケア、訪問診療、訪問看護等自己負担額原則1割に軽減できます。相談・申請先は市町村の担当窓口です。

精神障害者保健福祉手帳

さまざまな原因で精神障害となった方が、一定の障害にあることを証明するための手帳です。手帳をもつことで、各種の割引やサービスを受けることができ、この手帳を持つことによって、自立した生活と社会参加への一助となることを目的としています。
また、障害が軽減すれば、手帳を返すことや、更新を行わないこともできます
申請は、市区町村の担当窓口で行えます。

障害年金

障害年金とは、病気などにより障害を持った人の生活費を補うためのお金が給付される制度です。障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。
詳細は日本年金機構またはお近くの年金事務所、市町村の担当窓口にお問い合わせください。

精神障害者の就労支援制度

経済面・心理面ともに、就労が継続できる方法を職場と相談できると理想的です。
職場の理解が得られる場合、仕事内容の変更や、障害者雇用の検討ができるかを相談してみましょう。

退職しても主治医が就労可能と指示したときは、精神障害者手帳があれば、障害者雇用に応募できます。障害者雇用の就職件数も年々増加していて、その中でも精神障害者の就職件数は大幅に増加しています。就職に向けての相談は、障害者職業・生活支援センターやハローワーク、市区町村の福祉課の窓口で尋ねてみてください。

障害福祉サービスと介護保険の関係について

65歳以上の方、40歳から64歳で医療保険に加入していて特定疾病により介護や支援が必要になった場合、基本的には介護保険サービスを受けることになります。

ただし、心身の状況に応じて障害福祉サービスを利用することが出来る場合があります。

基本の優先順位はありますが本人の置かれている状況や求めるサービスによっては、介護保険が優先となる人でも障害福祉サービスを受けることが出来ます。

介護保険制度の対象となる精神障害の人は、サービス内容について市町村の介護福祉課や障害福祉課と相談・協議してみましょう。

まとめ 誰もが無関係ではないから…

精神障害は、若年層からの発症も多く、うつ病や統合失調症などは、仕事や出産・育児などが要因になることも多いようです。

また、最近では若年性認知症の人も増加しています。

実は現在、うつ病や統合失調症などの精神障害等を理由に障害年金を受給している人が一番多いのです。

精神障害は決して、自分に関係のないことではありません。

精神障害のある本人やその家族が、自分や家族の将来を悲観することなく、恋愛して結婚して子育てもして、普通に安心して老後を送ることができるように社会全体でサポートしていきたいものです。

困った時は、自分一人で抱え込まず周囲の人を頼るようにしてみてください。

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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