2017年のSPOT

 キャプスの手帳を袋に入れる「封入作業」をお願いしている広島南作業所さんは、利用者さんの特性に合わせてチームを組んで作業をされています。その抜群のチームワークは何によって生まれたのでしょうか? 事業所運営のヒントになるお話満載です!

#1 手帳の封入作業を行う 広島南作業所


仕事をするための作業所

 広島駅から徒歩10分のところにある「広島南作業所」。1992年に小規模作業所として誕生し、1997年に法人化、1998年には授産所を開所。現在は加工作業(市場向け野菜・果物の袋詰め)、農園作業(農場生産野菜・果物販売)、内職作業(地元企業からの委託)を行っています。 通年の作業は、市場の仲卸業者から請け負う野菜の袋詰めで、この日はスーパーに卸すじゃがいもを袋に詰めていました。じゃがいもを入れる袋にシールを貼る、じゃがいもを700gずつ量る、テープで止めてコンテナに入れるなど5チームに分かれて作業をしていました。 チーム制で無駄のない動きに驚いたキャプススタッフは、その理由を理事長の天方さんにうかがいました。「南作業所は仕事をしに来るところです。一日に課せられた仕事を全員できっちり仕上げるため、時間やルールを守るという“けじめ”をつけています。集団の中にいると“みんなで仕事を回しているんだ”という意識がめばえ、利用者さんは仕事を覚えるんですよ」。

南作業所とcapsとの出会い

 手帳の封入作業を南作業所に発注するようになったのは、天方さんの名刺を印刷したのがきっかけ。担当者が天方さんに封入作業の相談をしたところ、「やったことはないけれど挑戦しましょう!」と引き受けられ、今では手帳の封入作業だけでなく、チラシやパンフレットを封筒に入れて宛名シールを貼る作業や、カレンダーの組み立てなどもお願いしています。作業がとても丁寧だから仕上がりもきれい。しかも速い。信頼度バツグンの南作業所さんは、キャプスにとって大切なパートナーです。

「調子が悪い日でもここへ来ると元気になるんです」と、理事長の天方淑枝さん

ここは障害者施設の東大!?


 のんびりとした雰囲気で作業をする事業所が多い中、南作業所の利用者さんは途中で抜けることなく自分の仕事をこなして次のチームに回しています。なんと、南作業所は「障害者施設の東大」と呼ばれており、利用者さんは全員エリート! チームワークもよく、どんどんスキルアップしています。 支援員の小野さんによると、「みんな自分で仕事を見つけることができるんです。はじめは何もできなくても続けていればできるようになる。一人ひとりに成長があるんです。親御さんもこんなに仕事ができるの! とびっくりされます」。仕事には厳しさだけでなく、楽しさもある。だから、利用者さんは余程のことがない限り何年も通い続けます。利用者さんが一番楽しみにしているのは、課外活動と毎月の給料日。自分で稼いだ工賃で旅行の積み立てをし、好きなものを買う。「働く場所があるからみんな来るのだと思います。仲間と仕事ができるのが楽しいんでしょうね」(小野さん)。 作業の質もスピードも向上している南作業所の目標は「生産性を上げてお金を稼げるようになること」と、小野さんはきっぱり答えます。「ここは仲間が集まるだけの場所ではありません。仕事をするところです。利用者さんにはまだまだ可能性があるので、仕事をしてお金を稼げるようになると、みんなもっとうれしいと思います」。利用者さんの可能性が広がれば、働く喜びも増える。それが「障害者施設の東大」である南作業所の活気に表れています。「あと3ケースで終わりです!」「もうちょっとがんばろうね!」。ひときわ大きな声で全員を励ますのは、支援員の丸橋寿美代さん。一日の目標を時間内に終えるために手を動かしながら全体を見渡し、声をかけて盛り上げながらペースを調整しています。

「みんな家族みたいですよ」と笑顔で語る、支援員の小野恵美さん

毎朝7時半に家を出てバスで通っています。ちょっとしんどいときもあるけど、ちょっとがんばってます。児童館へ行って季節の花や木を描くのが好きです! (利用者の大濱聖子さん)

給料日が楽しみです。それでウルトラマンゼロの人形を買います! 夏には東京であるウルトラマンフェスティバルへ行きます! (利用者の升田岳志さん)

#2 広島南作業所が 20年前から とりくむ農業


マツダスタジアムより広い農園

 南作業所から車で一時間。温泉施設や牧場、夏はホタルの乱舞が見られ、冬には30センチの雪が積もる湯来町。トンビが飛び、姿は見えないけれどいろいろな鳥の鳴き声が聞こえる「里山」に南作業所の農園があり、職員さんと利用者さんの8名で農作業をしています。山の中にある農園の面積は53,000㎡で、マツダスタジアムがすっぽり入ってもまだ余裕のある広さ。大きな農園を仕切るのは、「ここには天の恵みがいっぱいある」と言う元気な88才の天方さん(初代理事長)。65才になったら引退して農業をやると宣言し、毎朝6時から作業を始められています。

若い職員さんと同じように働く、初代理事長の天方さん

 つなぎに麦わら帽子が似合う支援員の小田さんに農園を案内してもらい、話をうかがいました。「農作業に向いている利用者さんと職員で一日作業をしています。利用者さんは主に間引きや草抜き、畑を耕したり収穫をします。毎日山に来て身体を動かし、汗をかくと本当に気持ちいい。身体も精神面もずいぶんと健康になりますから、農作業はやめられませんね。きっと利用者さんも僕と同じで、ここで働くのが楽しいのだと思います。悪さもするけれど、みんな純粋なんですよ」。 見上げれば空があり、周りは山ばかり。空気は澄んでおり、視界を遮る人工物もない。触れるのは仲間と土と農作物。夏や真冬は辛い作業ではあるけれど自然の中にいるだけで、とても清々しい気持ちになります。「作業中は何も考えません。今日はたけのこをただ掘る。早くしないといのししに食べられてしまいますから」と言う小田さんのように、利用者さんも目の前の作業を淡々とこなします。夕方、南作業所に戻った利用者さんは作業中の引き締まった表情とは打って変わり、ひと仕事終えた充実感のある笑顔が印象的でした。

大きなたけのこを次々と掘る支援員の小田智敏さん
今では珍しい原木しいたけ

能力より対応力をつける

 農園での作業も、施設内での加工・内職作業も仕事が回るようになるまでに時間がかかったそうです。しかし、天方さんをはじめ職員さんが作業を通して、時間を守ることやみだしなみといった人としての“けじめ”を利用者さんに根気よく伝えながら、少しずつ仕事の幅を広げ、現在があります。天方さんによると「慣れるまでは大変だったけど、みんな作業が好きなんです。私たちは一人ひとりに対して対応できることを見極め、喜びを見出だすことが大切です。集団での仕事なので、能力より対応力をつけること。持っている可能性を対応力によって伸ばすことができるのです」。 16時、天方さんの号令によって全員が輪になり終礼。「エリを正して!」「△△くん顔を上げて!」「気をつけ! 今日も一日おつかれさまでした」と、ハイタッチをしながら帰る利用者さん。一日一日を大事に過ごすために根付いた南作業所の“けじめ”により、労働を通して仲間と連帯感が生まれる。だから、利用者さんは翌日も元気な顔で出所します。

丁寧に作業を行う農園作業2年目の 増谷さん

収穫できる農産物


たけのこ ・水菜 ・ほうれん草 ・ねぎ ・春キャベツ・チンゲン菜 ・大根 ・原木しいたけ ・ラディッシュ ・みょうが・クレソン ・梅 ・りんご(紅玉・ふじ・インド) ・キウイ ・榊

朝8時30分から農園で収穫した野菜をはじめ、漬け物やドレッシングを販売しています。スーパーで買うより断然安くて新鮮。早いもの勝ちです!

名物! 焦がしにんにくしょうゆドレッシング   380ml/500円(税込)

サラダはもちろん、肉料理や炒め物、パスタなど幅広くたっぷり使えるドレッシング。利用者さんがにんにくの皮をむき、職員さんが調理したオリジナルです。にんにく好きにおすすめ。通信販売も受け付けていますので、気軽にお問い合わせください。

社会福祉法人 天友会 広島南作業所 〈就労継続支援B型事業所〉 現在利用者50名 (18歳~65歳、平均年齢30代後半) 職員15名 広島市南区西蟹屋1-1-48 TEL 082-262-9818

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