アドロミスクス ‐Adromischus‐

今回ご紹介する多肉植物はベンケイソウ科の「アドロミスクス属 」!
ふっくらとしたかわいい葉や、まるで蝶の翅のような葉を一枚一枚重ねながらゆったりと育つ植物です。
ゴツゴツした肌質を持つものや、独特な模様のはいったもの、茎から気根を出すものなど色や形のバリエーションに富み、それぞれがとっても個性豊かです。

アドロミスクスの原産地は南アフリカとナミビア南部の乾燥地帯で、砂地に育つ低木の足元や、遮るもののない岩肌などに自生しています。
名前の「adros =厚い mischos =枝」のとおり肉厚の葉や茎を持ち、そのおかげか取れた葉っぱから新しい芽や根をだす「葉挿し」の成功率は多肉植物のなかでもかなり高く、元気な葉であれば8〜9割がたうまくいく感覚です。

現在原産地では29種が確認されており、花の形状や咲き方で更に5つのタイプに分類されていますが、どの種も基本的には多肉質の葉を広げながら直立するように育っていきます。同じ名前の品種でも産地ごとに個体差があり、その違いを比べてみるのも楽しいですよ!

成長速度はゆっくりなものが多く、株のサイズも縦横数センチ〜大きく育っても高さ40センチに満たない程ですので、小さな鉢で長年コンパクトに育てられる部分も魅力のひとつです!

水やりの頻度や水量、使用する用土等にも寛容でとても育てやすい印象ですが、夏場の暑さだけは苦手としますので、お水をひかえたり直射を避けたり風を送ったり等工夫をしてあげてくださいね。また、大きな株になると(加湿もしくは根っこが詰まるのが良くないのか、)たまに突然傷んで枯れこむ事があるので、葉挿しなどでふやしておかれる事をおすすめします。

とはいえ、アドロミスクスの有名品種クーペリー(写真上)などは比較的暑さに強く、猛暑でも元気に夏越ししてくれます。
全体的に寒さには強く、冬季〜春先にかけては一層色鮮やかになりとても綺麗です!今年は屋外のビニール棚で-4℃まで大丈夫でしたが、一部葉が傷んだりしていたものもあったので、5℃近くなってきたら日当たりのよい室内に取り込んであげると安心です。

冬の終わり頃から初夏にかけて、どの品種も長い花茎を伸ばして開花します。同属内での交配が可能で、近年は国内外で珍しい交配種が作り出されており大変人気があります。
個人的には受粉のタイミングや成否がなかなか掴みにくく根気が必要だと感じていますが、他の国では昆虫やハチドリがしばしば媒介してくれるようで、種をつけること自体はさほど難しくないようです。


品種によっては、少し触れただけで葉っぱがポロポロと落ちやすいものもありますので、購入・配送や植え替えの際には注意します。取れた葉は土の上に並べて葉挿しにしてみてくださいね、沢山ふえてくれると思います!

アドロミスクスはその他の多肉植物と比べると国内流通量の多い方ではありませんが、産地ごとの独特な葉柄やユニークな形と、またそのややマイナーぶりが逆にかっこよさを際立たせ、いつの間にか魅力にのめり込んでしまう愛好家も増えてきています。(筆者もそのひとり!)

海外では国内に流通するもの以上に珍しい苗が沢山やり取りされており、個人輸入でそれらを購入することも可能です。
お好みの方法でぜひ楽しんでみてくださいね!
―今月のひとこと―

今年は例年に比べて寒い冬となりましたね。この寒さでせっかくの植物をだめにしてしまったというお声もいろんな所で耳にしています(お便りくださった方ありがとうございました…!)。わが家も例外ではなく…枯らしてしまうのは申し訳ないし何より悲しいですが、またひとつこれからの為の勉強にさせてもらおうと思っています。
しかし本当に寒い、寒すぎる、と思っていたら、廊下の小窓がカーテンの向こうで冬中開いていたことに今更気がつきました。どうりで!(すぐ閉めました。)