セネシオ セネキオ -Senecio- ②

今回ご紹介する ’ホッと’ 多肉植物は、以前特集しました「セネシオ(セネキオ)属」の第二弾となります!
世界各地に広く自生し、その数は開花植物最大級の1200種とも言われるセネシオ属。
前回は主に「ネックレス系」と呼ばれる普及種などを中心にご紹介しましたが、今回はそれら手に取りやすい品種に加えて、塊根系や木立品種など更にバリエーション豊かで魅力的な姿をお伝えしていきます!

真っ白いフェルトで作られたような葉と茎が目を惹く「銀月(Se.haworthii)」。アフリカ南部ナマクアランド原産の植物で、脇芽を出しながらゆっくりと草丈45センチ程まで成長します。
とても美しい品種でありながら流通量もわりと多めで、一般の園芸店等でも購入可能です。
日光が大好きですが、夏の蒸れは苦手なので夏場は風通し良く育てます。冬の寒さには比較的強く、暖地のわが家でも毎年屋外(-4℃程度)で冬越ししています。加湿は苦手ですが、お水が足りないと下から葉が枯れあがってくるので苗の様子を見ながら潅水します。

銀月に劣らぬ真っ白な葉を持つ「エンジェルウイングス(Se.candidans ‘Angel Wings’)」。
葉はふわふわでやや肉厚ですが、しばしば一般の多年草花として園芸店等で取り扱われます。
南米チリ原産の植物で、寒さに強く関東以南では通年外置きや露地植えが可能ですが、銀月同様夏場の暑さと地際の蒸れには気をつけます。

「新月 (Se.scaposus)」は南アフリカ中央部の乾燥地帯が原産。
葉本体は緑色なのですが表面に薄い蚕のような膜があり、日照不足もしくはお水が多すぎたり葉が傷ついたりするとその表皮がパリッと裂けて中身が顔を出します。生育に問題はありませんが、見栄えを気にされる方はお気をつけを。性質は強健で、暖地であれば通年屋外にて冬越しも可能です。

「グランティー(Se.sempervivus ssp. grantii)」は東アフリカからアラビア半島にかけて自生する、セネシオでは珍しく根が肥大する塊根タイプの品種です。
塊根の育ち方はそれぞれに個性豊かで面白く、また夏場には穂の先端をするりと伸ばしてとても可愛い真っ赤な花を咲かせます。
暑さには強めのようで猛暑でも涼しい顔をしていますが、冬場は屋外に置くと肥大した根が凍ってしまい枯れこむ事があるので、氷点下になる前に屋内に取り込むのがおすすめです。

ちなみにわが家では昨年急な寒波で株の3/4が凍り、現在生き残った株からまた新たな塊根が生まれてきてくれたところです。(よかった…今年は気をつけます…)

爽やかなペパーミントグリーン色の葉が目を惹く「美空鉾(みそらほこ)」。
ホームセンターなどでも手軽に購入できますが、育てるうちに年々幹が立ち、ゆっくりと低木のような姿に変化するのも魅力のひとつです。↓

美空鉾は夏の暑さにも強く、冬場は氷点下にも耐え育てやすい品種ですが、-3℃あたりが限界の印象ですので真冬は気を付けてあげてください。
セネシオ属の多肉植物は基本的にどの品種も葉挿しが難しいので、増やしたい場合は株分けをするか、伸びた穂先を程よいところでカットして乾いた用土に挿します。
また植替えの時期は気温の安定した春か秋がおすすめです。

細長く青みのある葉に白い粉を吹きつけたような「寿限無」。
品種の由来は不明なのですが、こちらも成長と共に茎を四方へ伸ばし、盆栽のような雰囲気を醸し出します。また暑さ寒さに強く、関東以南では通年屋外栽培も可能です(毎年-4℃は耐えています)。
よく似た品種でより葉に丸みのある「白寿楽」があるのですが、この寿限無は白寿楽よりも白みがかり葉もかなり長めです。

↑幼苗の頃の「寿限無」。よく陽に当てて育っているので白寿楽の徒長苗ではないと思うのですが…
白寿楽を親にした交配種なのかもしれません。
このように、セネシオ属と一口に言っても本当に様々なタイプがありますので、ぜひお好みの品種を見つけてゆっくりと育ててみてくださいね!
最後に…前回お伝えしておりませんでしたが、セネシオ属の植物には毒性があると言われています(それぞれ品種ごとの多寡はあるようです)。
ピロリジジンアルカロイド類というタイプで主に肝臓障害や皮膚炎、消化器不良の原因となります。

例えば「グリーンネックレス」の場合、カリフォルニア大の研究によると毒性はclass2(嘔吐下痢など軽度)とclass4(皮膚炎)との報告があります。お子さんや高齢者、ペットのいるご家庭では念のためご注意いただき、ぜひ安全に楽しんでいただきたいと思います!
参考: https://ucanr.edu/sites/poisonous_safe_plants/files/154528.pdf
(おまけ:茎が伸びすぎて一回転しつつある「七宝樹錦」)

ー今月のひとことー

長い夏から秋をすっ飛ばしていきなり冬が来たような寒さを感じる今日この頃、私も植物たちもびっくりしているところなのですが、いかがお過ごしでしょうか?
実家の庭にある柿の実も一気に色づいてすっかり食べごろです。
この柿は毎年、実が熟れる頃にはカラス達がやってきて喰い荒らし人間の口にはあまり入らないのですが、今年は色付き始めた頃、様子を見に来ていた一羽のカラスに「今年はたべないでください〜」と声をかけてみたところ本当に一羽も食べに来ず、小首を傾げながらも毎日美味しい柿を頂いております。何か代わりのお礼をしないといけないのでしょうか…