ロゼット状の葉が花火にも見える多肉植物ベンケイソウ科アエオニウム

アエオニウム -Aeonium-

今回ご紹介する ’ホッと’ 多肉植物は、夜空を彩る花火のようにパッとひらいた葉が印象的なベンケイソウ科「アエオニウム属」の仲間たち!
多肉質の葉を放射状に広げ、茎の先にお花のようなロゼットを形成します。その姿はまるで自然が生んだ花束のようでもあります。


葉のロゼットは小さなものだと2cm程度から大きいものだと20~30cmまで、品種によって様々です。
そのロゼットを生涯地際で展開するもの、または成長に従ってゆっくりと茎が伸び木質化して灌木状になるものがあり、なかには草丈が1mを越す品種もあります(属の代表的品種「黒法師」など)。そのため一部は一般の観葉植物として販売・栽培されることも。

↑左:「小人の祭り(Ae.sedifolium)」 右:「富士の白雪(Ae.goochiae ‘Ballerina’) 」


またアエオニウムの中には葉から独特な香り(ちょっとくさい)がするものや、葉全体がねばねばしているものなど少し変わった特徴をもつ品種もあり、とても興味深いです。
下の画像は、上の写真「富士の白雪」と「小人の祭り」の葉の表面をズームで見たもの(x40~100)。どちらも葉が粘着質タイプの品種ですが、葉に小さな腺毛が生え、先端にキラキラとした分泌液がぷっくりと滲み出ている様子が伺えます。アエオニウムのこの分泌液や香りの目的は調べる限り不明でしたが、乾燥や小さな虫の食害等から身を守るためではと個人的には想像しています。

↑ 上:富士の白雪、下:小人の祭り


アエオニウムの原種は現在確認されている全42種のうち、36種類がスペイン本土から南西方向にある「カナリア諸島」原産。モロッコや東アフリカなどにも確認されていますが、それらも元々はこのカナリア諸島で発生したと考えられているそうです。(交配で作り出された園芸用品種を含めるとより多くの種類がありますよ!)

↑「サンバースト綴化(Ae.urbicum variegata ‘Sunburst’ f.cristata)」比較的暑さ寒さに強い印象。暖地のわが家では毎年屋外のビニール棚で-4℃まで耐えています。


7つの火山島からなり、’常春の楽園’とも呼ばれるカナリア諸島は、年間通して15℃〜28℃程の穏やかな気候で、雨も少なくかなり過ごしやすいようです。(冬場に多少まとまって降るようですが、総雨量は日本の比ではありません。)
ですので、季節ごとに気温差の激しい日本でアエオニウムを育てる場合は、夏の暑さと冬の寒さの2点に気をつける必要があります。

↑7月後半、休眠中の「黒法師(Ae.arboreum ‘zwartkop’)」の姿。黒法師もアエオニウムのなかでは比較的暑さ寒さに強い印象で、関西以南では通年軒下での栽培風景もしばしばみられる。


夏場は気温が上がってくる6月ごろから徐々に動きが緩慢になり、上の写真の黒法師のように外側の葉を徐々に落としてロゼットが真っ平ら〜やや小さくすぼまった形で夏を越します。(休眠
その期間は風通しのよい半日陰の軒先などに置き、水やりも2〜3週間に1回程度、表土が湿るくらい軽めに行います。

↑左:「夕映え(Ae. ‘Kiwi’) 右:「レモネード(Aichryson ‘Lemonade’)」。両者とも黒法師より耐寒性が劣ります。※レモネードはアエオニウム属として流通していますが、近縁のアイクリソン属とのこと(今回未掲載の「愛染錦」も同じくアイクリソンだと紹介している書籍もあります)。


アエオニウムの根は基本的に細く、深くまで伸びている主根は体の保持が主な役割で、給水に使われている根は表土から5〜10cm程度の浅い部分のようです。なので夏場は少量のお水でも大丈夫。やりすぎると根が腐ってしまうので気をつけてくださいね。
夏が過ぎ涼しくなってくると生育期本番。葉が伸びだしたりロゼットが緩んできたりと目に見えて動きが出始めますので、以降は少しずつ水やりを増やします。

↑ふわふわした葉がかわいい「リンドレー錦(Ae.lindleyi f.variegata)」。根張りが遅く、またやや浅めのため、倒れやすいので少し深めに植えつける。


元々お水は好むので、生育期(秋)になると雨ざらしでもよいほど。たくさん陽に当てながら、1〜2週間に1回程度しっかり水やりします。
葉挿しはできないこともありませんがなかなか難しいので、ふやす場合はこの生育期の時期に程よいところで枝を切り取り、切り口を乾かしてから挿し木にします。カット後は元の株の切り口周辺からも沢山の新芽が出てきますよ!植え替えもこの時期が安全です。

秋を経て、冬場もかなり寒さが増してくるまで元気に育ってくれますが、5℃を下回り氷点下近くなると一気に枯れこむことがあるので特に夜間の気温には注意が必要です。
可能であれば5℃近くになってきたら水やりを控え、夜間だけでも室内に取り込むなど工夫してあげてくださいね。(屋外で冬越しする場合は新聞紙や不織布、ビニールなどで念入りなカバーをした方が安全です。)
が近づき気温が上がってきたら、再び梅雨頃まで生育期となりますので、また秋同様の管理を行います。

↑「仙童唱(チョコチップ , Ae.spathulatum)」小型のアエオニウム。別名のとおり葉裏に小さな茶色のチップ模様が入る。成長がわりと速めで夏場には葉先がキュッと小さくなって休眠するなど、変化が多くとてもかわいい。


尚、数年前に「グリノービア属」がアエオニウム属に統合されメンバーが増えてているのですが、そちらはまたいつか。
今回ご紹介したアエオニウムは園芸店やネットショップなどで比較的手に入りやすい種類なので、お出かけの際にはお店など覗いてみてくださいね。
成長はあまり速い方ではありませんが、同じ品種でも育て方やカットによって枝ぶりが変わり、どこか盆栽にも似た面白みもあると感じています。
アエオニウムの名前の由来はギリシャ語で「不老不死」。長く付き合える相棒をぜひ見つけてください!


-今月のひとこと-

「仙童唱(チョコチップ)」の部分を書いていてふと思い出したのですが、先日チョコチップが入ったチョコパンだと思って買ってきた菓子パン、口に入れて初めて黒いツブは全部干しブドウだと分かって本当にびっくりしました。あまり得意ではないのですがおいしく?いただきました。以後気をつけます。(眼科にも行きます。)みなさま良い春を!


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