クラッスラ界の難物も登場!微毛で白い葉の突起が可愛いチタノプシス

クラッスラ –Crassula–

今回ご紹介するのは、以前取り上げました「クラッスラ属」のpart 2、後編となります!
前回ご紹介しきれなかったものに加えて、新しめの園芸品種、また比較的珍しい苗や、日本で育てるのがやや難しい「難物」と呼ばれる品種まで、お写真多めでご紹介していきます!

まずは園芸店などでも手に取りやすい普及種の「ロゲルシー(C.rogersii)」。暑さ寒さに強く、暖地のわが家では通年屋外栽培で元気に育っています。茎部を木質化させながらゆっくりと30cm程度まで伸びていきます。(斑入り品種もあり)

同じく入手しやすく暑さにも強い「サルメントーサ(C.sarmentosa f. variegata)」と「テトラゴナ(C.tetragona)」。サルメントーサの葉は椿の葉のようにほんのり艶と固さがあり、低木の如く上に伸び広がるよう育ちます。冬季は斑の部分が赤く染まり一段と綺麗。
テトラゴナも同じく葉の硬い木立タイプで、脇芽を増やしながら1m近くまで成長します。どちらも育てやすい品種です。(テトラゴナは大きくなっていたのですが、今年-4℃の寒さに初めて負けて頭だけが残ったので寄せ植えにしました…)

赤桃色の集合花が目を惹く「呂千絵(C. ‘Morgan’s Beauty’ )」アメリカで作出されました。
「神刀(C. falcata)」と「都星(C. mesembrianthemopsis)」の交配種で、その綺麗な花色は神刀の、可愛い草姿は都星の影響が見受けられます。若干デリケートな都星の特徴まで受け継いでしまい、夏の暑さが苦手。特徴的な可愛らしい花ですが、暑さが厳しい地域の場合は早めにカットするなどして体力を温存させてあげてください。

↑上から時計回りに「サンスター(C. ‘Sun Star’)」「ファンタジー(C.marnieriana f.variegata)」「愛星(C.rupestris ‘Aiboshi’)」「ルペストリス錦(C.rupestris f. variegata)」。比較的新しめの園芸品種などです。みな育てやすく、冬場にはより色づいてとても可愛らしい苗達。寄せ植えに使っても華やかです。
右端のファンタジーは「舞乙女」の斑入り品種ですが、販売されはじめた数年前は1カットで万を超える値がつくほどの高級種でした。近年ようやく手に取れるようになり始めたところです(うれしい)。儚げな雰囲気が素敵でその人気にも納得です!

↑左:「紀ノ川錦(C. ‘Moon Glow’ f. variegata)、右:「トメントーサ(C.tomentosa)」。同じく儚げなカラーの紀ノ川錦ですが、暑さにも強く見た目より丈夫な印象です。ある程度伸びると倒れてきてしまうため、頭をカットして挿し木にし鉢の周りに殖やしていった方が育てやすいかもしれません。
トメントーサはあまり国内に流通が多くなく、この苗も輸入したものです。原産地の南アフリカではさほど乾燥がひどくない地域に多く育っているようで、こちらも蒸れや暑さには比較的寛容。花が咲くとその直接の株は枯れてしまうのですが、群生するタイプなので以降は仔株を大事に育てます。

●「姫稚児(Crassula sp. C-1166 /C.’Himechigo’ )?」
和名がついていますが、詳細がよくわからないままのクラッスラ 。以前①でご紹介した紅稚児に雰囲気が似ますが、こちらはやや葉が短く表面に斑点状の突起があり肉厚です。また紅稚児は暑さ寒さに強いですが、こちらはよりデリケートな印象。夏場はなるべく涼しく管理をしてあげてください。

南アフリカからボツワナにかけて広く自生している「白妙(C.corallina)」。5mm程の小さな花のような葉を積み重ね、大きく育っても背丈が指の長さほどの小型種です。原産地では沢山の陽を受けながら岩の上部や裂け目に乗った薄い砂の上などに育ち、かなり乾燥には強いようです。その為か加湿や蒸れがとても苦手。夏を越すたびにいつのまにか数が減ってきてしまいます…


クラッスラは以前ご紹介したエケベリアと同じベンケイソウ科の植物で、夜間にメインの呼吸や代謝を行います。夏を苦手とするクラッスラを育てる場合は、特に夏場の夜間に更に涼しくなるよう、通風や置き場など工夫をしてあげてくださいね。


「月光(C. barbata)」は南アフリカ・西ケープ州周辺の雨が少なく暑さ寒さの厳しい地域に自生しているようです。株を覆う独特な白い毛が一番の特徴で、この毛に身を隠すように茂みの株元などにひっそりと育っているそう(『The Timber Press Guide to Succulents Plants of the World /Fred Dortort』より。)余談ですがその筆者によると「別属のハオルチア セミビバ(同じく非常に細かな毛が特徴的)と一緒に茂みに隠れているのを見た」とあり、よく似た姿の全くの別種が静かに肩を並べているのを想像すると何とも不思議で面白いなぁと感じた次第であります。
加湿がとても苦手なので梅雨から夏場は気をつけてあげてください。

「デセプタ/ 稚児姿(C.deceptor)」シックなカラーとその肌質が魅力的な品種。主にナミビア南部周辺の白い石英が転がる原野に多く育ち、その石に擬態をするように溶け込んで自生しているとのこと。様々な園芸品種の交配親にもなっており、そのフォルムを受け継いでややぽってりとした姿の魅力的な苗が作り出されています。

↑葉の縁が赤く染まるタイプのデセプタ「赤筋稚児姿」。

デセプタには縁が赤く色づくタイプや、葉に丸みのあるタイプ、葉先が尖るタイプ、全体的に幅広なピラミッドタイプなどいくつか分かりやすい個体差があるようです。また暑さ寒さに比較的強めな印象ですが、蒸れると下葉が茶色く枯れ上がってくることがあるので通風に気をつけます。10cmを超える大株に育つと倒れこんでしまいがちなのでカットして挿し木にすると安心です。

太い毛糸を編み込んだような独特の姿が印象的な「アルストニー(C. alstonii)」。葉は非常に細かな毛に覆われ、触れると全体的に柔らかな感触です。ナマクアランド沿岸部の日当たりの良い緩やかな丘陵地帯の砂地で、砂利や石英に紛れるようにして単体もしくは高さ4,5cm程度に低く群生しています。
冬に雨が降る気候なのでお水は苦手ではありませんが、日本の環境ではその柔らかな葉や茎にカビが侵入しやすく病気になりがちなため、高温多湿の時期は特に気をつけます。また日光が足りないと間延びしがちなので魅力的に育てたい場合は注意が必要です。

↑出てきたばかりの新芽がかわいいアルストニーの葉挿し苗。

アルストニーは流通や栽培数もそれほど多くなく、日本の環境ではデリケートで育てにくい所謂「難物」とされていますが、意外にも葉挿しがとても簡単な印象があります(もいでみるとそら豆のような形の可愛らしい葉)。
栽培の際は念のため春か秋口に葉挿しや挿し木で株を殖やしておかれることをおすすめします!

同じく「難物」といわれてきた、ナミビア南部原産の「チタノプシス(C.ausensis v. titanopsis)」。微毛の生えた葉に白い突起が密に乗り、小型でとても可愛らしい見た目をしています。
原産地では岩場の隙間に強い陽を受けながら自生し、わずかな雨のみで育っているようです。ただ個人的には栽培はさほど難しく感じておらず、お水をやりすぎずに(1,2ヶ月に1回程度)しっかりと日光・通風さえ確保できれば毎年少しずつ株を大きくし、花も沢山咲かせてくれます。
時に自家受粉もするようで、種まきからの実生苗育成も比較的容易のようです。(写真は2015年9月播種の実生苗を頂いたもので、わが家にきてくれて5年程です。)

「crassula sp.IB12435 NE of Zuurbron 」。詳細不明の名もなきクラッスラ 。丸みや厚みのある葉を持つことが多いこの種のなかでは珍しく柔らかな細葉で、表面を流れるように覆う白毛がとても綺麗です。
Zuurbron とは産地の名前ですが、ハオルチアの人気原種・通称「ズルゴル」の産地でもあります。個人的にときめきます。

「カペンシス(C.capensis var. capensis)」は珍しい球根タイプのクラッスラ 。南アフリカケープ州南西部の岩場などに自生しています。
暑い時期には地上部を完全に枯らして休眠し、秋口になると地中の塊根から花芽を長く伸ばして開花します。休眠中にうっかり置き場を奥の方に移動していると、目覚めに気づかず花芽がのびのびに徒長してしまっていることがあるのでご注意を!(わが家だけかもしれませんが…)。
生態は一見大きく違いますが、その先端に咲く白くて丸い集合花には非常にクラッスラの花特有の雰囲気を感じます。その開花に遅れをとるように地際では濃い緑色の相対葉がゆっくりと展開し、花後は暑い夏の休眠時期が来るまでその葉を鉢いっぱいに広げた姿で過ごします。

種類が豊富でどれも魅力的なクラッスラ 。まだまだご紹介しきれていないのですが…長くなりましたので今回はこの辺で。
暑さの苦手なクラッスラはなるべく挿し木や葉挿しでスペアを作り、それぞれに置き場所を変えて育ててみてくださいね。育つ速度自体は遅い方ではないので、なんとかひと苗でも夏を越せれば全滅を防ぐことができます。色々工夫をして楽しく育ててみてください!

ー今月のひとことー

今年の夏も暑い日が続きなんとか生き延びた感がありますが…お元気でしょうか?
中盤からは雨もかなり多く、まるで梅雨が戻ってきたかのようでした。
私も外で作業ができないため、諦めてお家でちまちまと多肉のミニチュアを作って遊んでいました。今は沢山の便利な道具や、安価で質の良いドールハウス・ミニチュアキットが販売されていて選ぶだけでもとても楽しいです。手先を動かしたりものづくりの好きな方には非常におすすめ。youtubeなどにも作り方が沢山載っています。外がダメなら内で楽しんでやりましょう!

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S.K
広島生まれ広島育ち。進学先の京都で多肉植物と出会いその魅力に触れ、狭小スペースでの栽培に試行錯誤しながらも、父にもらった一眼レフカメラでそれらの栽培記録を収めるように。その後社会人となって10数年、未だ稼いだお金をせっせと緑に変え土に埋める生活が続いている。

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